特養の看取りケアとは?介護職員の私が10年の経験で学んだ“感情との向き合い方”

介護者の心と体のケア

「看取りケアって、実際どんなことをするの?」
「自分にちゃんとできるか不安…感情的になってしまったらどうしよう」

と心配に思われている方もいるのではないでしょうか?

特養や介護の現場で働いていると、いつか直面するのが「看取りケア」です。
初めて関わるときは戸惑いや恐れ、不安がつきまとうのが正直なところだと思います。特に、死に関わることなので、未経験であればなおさらです。

私も、介護職員として特養に勤務していた中で、はじめて看取りケアの対応をしたときは泣いてしまいました。
「感情を出してしまうのは職員としてどうなんだろう?」と悩んだこともあります。

この記事では、特養で10年間、数十名以上の看取りに携わってきた私の実体験をもとに、
介護職員として「看取りケアとどう向き合うべきか」、そして「感情との向き合い方」についてお伝えします。

「不安だけど、ちゃんとできるだろうか?」
そう感じているあなたに、少しでも届きますように。

🕊️ はじめての看取りケア|泣いてしまった日のこと

私は特養の介護職員として、10年ほど勤務していました。これまでに数十名以上の利用者さんの最期を看取らせていただきました。

初めて看取りケアを行ったときのことは、今でも忘れられません。

私は、人の最期を見た経験がありませんでした。心肺停止が確認されたあとも、死を受け入れられず、利用者さんと過ごした時間を思い出し泣いてしまいました。

ご家族が到着したあとも、私と利用者さんの時間を作ってくださり、居室で泣き続けていたのを覚えています。施設長や先輩職員から「この後の仕事大丈夫?」と心配されるほど感情が入ってしまい、落ち込んでいたのです。

💭 感情は出しちゃダメ?職員としての葛藤

ある先輩職員からは「そんなに感情が入ってしまうと仕事が辛くなる。受け入れて次に進むしかない」と言われました。

10年間看取りケアに携わってきましたが、今でも最期の時を考えるにあたり、いろんな感情があります。

  • 「亡くなったことは寂しいが、他の利用者さんが介助を必要とし、今も一分一秒の余裕がない」
  • 「初めは悲しかったが、こういう仕事だと受け入れ、慣れてきた」

こういう考え方になるのは間違いではありません。

私が見てきた中では、そうなっていく職員がほとんどでしたし、私自身も、最初に比べれば落ち込んだり引きずるようなことはなくなりました。

🌿 それでも私は「悲しんでいい」と思う理由

介護職員は利用者さんの家族ではありません。家族のように泣いてしまったり、落ち込んでしまうことは一職員として適切ではないのかもしれません。

それでも私は、悲しむことも泣いてしまうことも、悪いこととは思いません。

むしろ、そこまで利用者さんのことを思える関わり方や介助をしてきたことが、とても素晴らしいことだと思います。

’’楽しい時間や思い出を作れた’’から、別れが惜しい。それは他の誰でもなく、利用者さん自身が一番感謝していることだと思うからです。

🤝 看取りケアに不安を感じているあなたへ伝えたいこと

最期のときは誰でも悲しいものです。家族でなくても、一緒に関わってきた時間を思えば、別れを惜しむのは当然のことです。

泣くことが大切だとは思いませんし、それ自体が重要だとは思っていませんが、感情を抑える必要はないと思います。

自分を押し殺さず、最期まで往生され、人生をやり切った利用者さんに対して自分なりに見送って差し上げることが一番大切なことです。

正解の形もなく、ただ素直でいていいのだと思います。

🫱 今、看取りケアに関わっている介護職員のあなたへ

人の最期を支える、とても重要な仕事をあなたはしています。

関わりや、介助など、あなたが尽くしてくれたことを利用者さんは忘れることはないでしょう。

看取りケアを業務の一環として捉えるのではなく、人生の最期を飾る“有終の美”として迎えさせてあげることが出来るように。
介護で学んだ集大成を持って、あなたのやり方で見送りしてあげてください。

📝 まとめ|感情はあなたの強さになる

看取りケアは、心が揺さぶられる仕事です。

でもそれは、あなたが真剣に利用者さんと向き合ってきた証です。

感情を否定する必要はありません。

あなたの“そのまま”で、最期を支える介護をしてあげてください。

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