介護施設の違いを徹底解説|特養・老健・グループホームの選び方

介護の知識と制度

今回は、介護施設の違いについてご紹介します。それぞれの特徴を確認して、施設選びの参考にしてみてください。

📌はじめに

「介護施設」と一口に言っても、色んな種類の施設が存在します。それぞれに特徴や生活スタイルなども変わります。

なかでも特養(特別養護老人ホーム)、老健(介護老人保健施設)、グループホームはよく比較される施設です。聞いたことがある方もいると思います。

ちなみに、筆者は特養で10年以上働いていました。

本記事ではそれぞれの違いや特徴、選び方のポイントについて、わかりやすく解説していきたいと思います。

施設選びに悩むご家族や、介護士を目指す方の参考になれば幸いです。

特養(特別養護老人ホーム)とは

💡特徴

公的施設で費用が比較的安い施設の中でも、比較的費用が抑えられることが特徴です。

要介護3以上が原則入所対象要介護3以上を原則としていますが、特例として要介護3に満たない利用者さんもいます。絶対に入所できないというわけではありません。

長期入所が基本特養は終の棲家(ついのすみか)とも言われ、ご逝去される最後の時まで、入所していられることが多いです。

❗️メリットとデメリット

メリット その①:費用が抑えられる

やはり特養の大きなメリットは、費用が抑えられることです。所得や施設によっても費用は変わりますが、月額の費用はおおよそ7~15万円程度です。また、低所得者へ向けた軽減措置などもあります。

メリット その②:最期までみてもらえる

特養は看取りケアまでを行っていることがほとんどであるため、介護の依存度が高く、ご家族が自宅で支援するのは難しい場合などに、施設に入所してもらえると安心できます。特養であれば、職員が24時間見守りを行ってくれます。

デメリット その①:競争倍率が高い

費用が安く、終身で預けることができるので、人気があり競争率は高めです。また、介護士の不足によって、施設は減っており、お住いの地域によっては空きがないことも考えられます。

デメリット②:状態がよくなることが見込めない

特養は、後述する老健やグループホームとは違い、リハビリや生活の支援よりも介助がメインです。要介護3以上の利用者さんが多く、介護の依存度が高いため、職員は日々のケアに追われています。特養の現場においては余暇の過ごし方などは課題とされています。

老健(介護老人保健施設)とは

💡特徴

リハビリを目的とした中間施設老健は、’’リハビリをして在宅での生活に戻っていこう’’というのがコンセプトです。

医師・リハビリ職が常駐医師だけでなく、PT・OT・STなどの作業療法士がいるため、リハビリのプロが手厚い支援をしてくれます。

原則3ヶ月での退所が目安特養と違い、在宅への復帰を目指し、3か月ほどで退所となるので、回転率が高く、空きが出やすいです。

❗️メリットとデメリット

メリットその①:リハビリに特化している

各種専門職が揃っているため、一時的に状態が落ちてしまった方や、在宅で頑張って生活していきたい方にとっては、手厚いリハビリを受けることができます。また、3か月ほどで退所することを目標としているので、具体的な期間が決まっていて取り組みやすいと言えます。

メリットその②:中間的な存在で、迷ったときに選びやすい

グループホームほど生活が中心というわけではないが、特養ほど介助メインではない、まさに中間的な位置づけになっています。そのため、迷ったら老健で様子をみようという判断も取ることができます。入居に一時金が不要で、特養にも負けない費用面の優しさもあります。

デメリットその①:競争倍率が高くなってきている

高齢者が増えているため、特養だけでなく、老健にも利用を希望する方が殺到して待機者が出ています。また、特養への入所を待っている間に老健を一時的に使うというような使われ方もしているのが現状です。競争倍率はどちらも上がる一方です。

デメリットその②:いずれ出なければならない

リハビリを行い、在宅への復帰を目的としているため、いずれ施設を出なければなりません。一見メリットのようにも見えますが、例えば入所中に大きな事故を起こして状態が落ちてしまった場合や、持病を患いリハビリどころではなくなってしまったときに、”次をどうするか?”を決めなければなりません。急きょ、特養や病院を探して見つけることはご家族にとって難しいことです。

グループホームとは

💡特徴

自分のペースで過ごせる入所条件は認知症があることのみで、比較的、身の回りのことが出来る方が対象になっている

少人数・家庭的な雰囲気入所者はおおよそ9名以下で構成されるため、家庭に近い生活を送ることができます

各種の月額費用が発生家賃、食費、光熱費など、費用負担は多めです

❗️メリットとデメリット

メリットその①:家庭に近い環境で生活を送ることができる

共同で生活できるスペースはもちろん、個室も用意されているため、自分のプライバシーを守りながら、リビングやキッチンで家族のように他の利用者さんと暮らすことができます。職員とも家事を一緒に行うことができるので、安全にも配慮がされています。

メリットその②:施設という感じが少ない

高齢者の中には、特養や老健など、施設への入所に抵抗感のある方も少なくありません。グループホームは小規模で、集合住宅の一角のような雰囲気があるため、”施設感”を感じにくく、自宅の延長線のような位置づけで入所しやすくなっています。

デメリットその①:医療対応は難しい

施設にもよりますが、グループホームは基本的に医師も看護師も常駐していません。ある程度自立していることが前提であるため、医療的な処置が必要な方には不向きです。

デメリットその②:費用が高め

家賃や食費、また光熱費や雑費なども掛かり費用は高額です。施設によっては敷金や保証金が必要になる場合もあります。(※要確認)グループホームの費用を抑える動きも出てきていますが、やはり特養や老健に比べると明らかに高いです。

📖比較早見表でまとめ

項目特養老健グループホーム
入所条件要介護3以上要介護1以上認知症で要支援2〜可
利用期間長期原則3ヶ月以内長期(空き状況次第)
費用目安(月額)8〜15万円8〜13万円12〜16万円
医療対応〇 嘱託医など○ 医師常駐△ 提携医が巡回
家庭的雰囲気◎ 少人数&個別対応

✍️どの施設を選ぶべき?

施設への入所を迷われている方へ、いくつかポイントをご説明します。

  • 入所までの緊急性(すぐに入りたいvs待機)
  • 医療ケアがどれくらい必要か?
  • 家族と利用者さんとの距離感・生活をどれくらい手伝っているか
  • 本人の状態(認知症・身体機能)

これらのポイントの中でも、ご本人の状態が一番重要であるといえます。認知症が進行していれば、集団生活やリハビリそのものが難しく、特養の一択となります。また、医療的な処置が多かったり、介護の依存度が高い場合も、すべてのサービスを行ってもらえる特養がベターとなってきます。

よって、施設を選ぶ際は、特養への入所を前提として考えてみるといいでしょう。

  • 医療への依存度がそんなに高くなく、本人にリハビリの意思がある
    →老健への入所を検討
  • 多少の費用が掛かっても、あまり施設らしくない場所で暮らしたい
    →グループホームへの入所を検討

まとめ

私がこれまで入所を取ってきた経験からだと、特養や老健の入所は、ご家族の目線だと「急に介助が必要になった」「大きなけがをしてしまった」「何をすればいいんだろう」など、急に選択を余儀なくされることが多いように思えます。

今すぐ施設への入所を検討していない方でも、施設の特徴をなんとなく知っておき、いざという時に備えておくべきだと考えています。

それぞれの施設は目的や入所条件が異なるため、家族や本人の状態に合わて選択するといいでしょう。

また、今後はそれぞれの施設の特徴においても、深堀した記事を作成する予定ですので、気になる点やご質問などあれば、ぜひお待ちしております。

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