福祉用具の種類と選び方|介護保険で使えるレンタル・購入の違いも解説

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🧰 福祉用具とは?介護を支える重要アイテムについて

介護現場では、日常生活をサポートするために「福祉用具(ふくしようぐ)」が欠かせません。

福祉用具というワードは聞き慣れない方も多いかもしれませんが、歩行に使う杖や、車いす、介護用ベッドなどと聞くとわかりやすいかもしれません。これらは全て、福祉用具と呼ばれる介護用のアイテムです。

福祉用具を正しく使うことで、介護者と利用者お互いの負担を大きく軽減することができます。まさに生活に必須のものであると言えます。

本記事では、福祉用具の種類や特徴、介護保険での利用方法、選び方のコツまでを丁寧に解説します。

また、今回は福祉用具全般についての広範囲の記事になりますが、今後はジャンルごとに掘り下げた記事を執筆する予定なので、ぜひ参考にしてみてください。


🗂️ 福祉用具の種類と特徴

福祉用具は用途に応じて多種多様です。これからも便利なものは増えていきますが、ここでは主なカテゴリ別に紹介していきます。

🦽 移動をサポートする福祉用具

代表的なものは、車いす・歩行器・杖の3種類です。これらは、利用者のADLに応じて、どれを使うかを選びます。

  • 歩行杖:歩くことは出来るが、手すりを使いがち。または長距離の歩行はふらついてしまうことがある。
  • 歩行器:歩くことは出来るが、何かに掴まっていないとふらつきがある。誰かの支えがないと、歩くのが心配。
  • 車いす:歩くことが難しい。または転倒の恐れがある。

以上のように、利用者が移動をするときに、どれくらい足腰を使うことができるのか?を基準に考えます。

注意してほしいポイントはまだ歩けるのに車いすを使ってしまう。杖が使えそうだけど、念のため歩行器や車いすを使用するなど、安全ばかりを気にしてしまうと、本来歩けていたはずの能力が失われてしまいます。

💡”とにかく転ばないように”などで、安易に楽な福祉用具を選ばないようにしましょう。

🚻 排泄をサポートする福祉用具

排泄をサポートしてくれる福祉用具もあります。おむつやパッドだけではなく、持ち運べるタイプのトイレや、排尿を知らせてくれるセンサーなどが挙げられます。

  • ポータブルトイレ:持ち運べるタイプのトイレです。ベッドサイドなど、利用者の近くに設置できるので、トイレまでの移動が間に合わない方や、夜間はお部屋で用を済ませたい方などに便利です。
  • 排泄センサー:排尿や排便があったらセンサーが検知し、介護者に教えてくれるセンサーです。寝たきりなどで動くことが出来ない方が主に使用します。排尿がいつまでも残っていると、衛生面でもよくないですし、おむつ内がかなり不快になります。すぐに介護者へ知らせてくれるのは便利と言えます。

💡ただし、ポータブルトイレはすぐに処理しなければお部屋に臭いが残ってしまう、排泄センサーは常に衛生管理をしなければならないなど、どちらも管理面では職員の負担が大きいアイテムでもあります

🛁 入浴をサポートする福祉用具

入浴の介助をサポートしてくれるアイテムも多種多様です。

  • シャワーチェア:滑り止めなどの加工がされており、座ったまま、洗身・洗髪ができます。中には、車いすのように車輪がついていて、浴槽内や脱衣場までを座ったまま移動できるタイプもあり、便利です。
  • バスボード・浴槽内手すり:浴槽の横にボードや手すりを設置することで、浴槽への出入りを安全に行えるアイテムです。バスボードは取り外して使えますし、手すりは浴槽に固定して使うことが出来るので、それぞれの用途に合わせて選ぶことが出来ます。

💡入浴介助で大変なのが、とにかく浴槽への出入りと、浴室内の移動です。どちらも濡れた状態ですので、非常に滑ります。事故が起こりやすい現場であるともいえます。施設であればある程度の設備が整っていますが、在宅で入浴を行う場合などは、入浴介助用の福祉用具を用意しておいた方がいいです。

🛏️ ベッド関連の福祉用具

介護ベッドは、利用者の起き上がりなど生活面をサポートしてくれるだけでなく、介護者の負担を軽減するアイテムでもあります。

  • 介護ベッド(電動ベッド):主な機能として、背上げ・足上げ・ベッドそのものの高さの調節ができます。高性能なベッドも開発されていますが、基本的にはこの3点の機能があれば十分です。
    背上げをすることで、介護者が起こさなくても体が起こしやすくなり、高さをあげることで、介護者が前かがみになりすぎず、どちらも腰への負担を軽減することが出来ます。
  • サイドレール・ベッド用手すり:介護ベッドには、サイドレールを挿入できる穴がついています。サイドレールは転落を防止するために、ベッド用手すりは、起き上がる際に掴まれるものとして、それぞれの用途に合わせて使い分けることが出来ます。

💡介護ベッドの機能を正しく使えば、利用者の安楽な姿勢が保てるだけでなく、介助者の負担軽減にもつながります。ただし、足だけを上げて利用者が起きられない状態にする、サイドレールで四方を囲み、出られなくするなどの拘束状態になってしまわないように注意してください。


🧾 介護保険で使える福祉用具とは?レンタルと購入の違いについて

福祉用具にはレンタルと購入があります。それぞれにメリット・デメリットがあります。以下はその代表例です。

 🔄レンタル(貸与)の特徴

  • 介護保険を利用すれば、1割負担で月々の負担を抑えられる。
  • 同じ機種であれば不具合の発生時に取り換えが可能。
  • 杖→歩行器→車いすと変化していく中でも、月額料金なので費用負担は少ない。
  • メンテナンスなどは業者に任せることができる。
  • 長い目で見れば高額になる。

 💳購入の特徴

  • 同じものを使い続けるのであれば、購入の方が安く済む
  • 消耗品は購入のみ。
  • 個人で使用するのが前提のものは(例:ポータブルトイレ)使いまわしができないため、購入になります。
  • 市区町村の支給あり※事前申請が必要です。自治体に問い合わせてください。

個人的にはレンタルをおススメします。長い目でみれば、買ってしまった方が安いというのは確かにありますが、

「最近歩けなくなってきたから杖を買おう」→「ふらふらしてきて危ないから歩行器を買おう」→「歩けなくなってしまったから車いすにしよう」とその都度購入するとなると、費用は高額になります。

また、レンタルのいいところは、歩行器ひとつとってみても、種類が多く、いくつかお試しが出来たり、途中で変更することも可能で、柔軟性が高いです。

利用者さんそれぞれに体格や持病などで、使いやすい福祉用具は違いますので、生活に馴染む福祉用具選びは、レンタルで行うといいと思います。気に入ったら購入することも可能です。


🧑‍⚕️ 福祉用具を選ぶ際のポイント

選び方を誤ったり適当に選んでしまうと、逆にケガや使いづらさにつながります。福祉用具専門相談員やケアマネと相談して、以下の点に注意しながら選定してください。

👤 利用者の身体状況に合わせる

  • 身長や体重、握力、バランス感覚などを考慮し、特に杖や歩行器は歩行時の様子をよく観察しましょう。
  • 必ず試用やフィッティングを行うのがおすすめです。大手の業者であれば、デモ利用(お試し期間)を設けてくれ、実際の生活で試すことが出来ます。

🏠 住環境との相性を確認

  • 玄関や部屋の間の段差を解消するため、スロープや手すりなどの福祉用具もあります。在宅であれば利用を検討しましょう。
  • お風呂場の環境も確認します。入浴をサポートする福祉用具はいくつかありますが、ご家庭のサイズに合わせないと、どのアイテムも比較的大きめなので使いづらくなってしまいます。

📝 まとめ:福祉用具を活用して、よりよい介護生活を

福祉用具は単なる道具ではなく、使い方次第では、介護者・利用者双方の負担を軽減し、自立を支援する重要なパートナーとなります。

そのためには、福祉用具の正しい知識と使用方法を知っている必要があります。利用者さんは高齢で、新しいものに馴染むのは時間が掛かってしまいます。これはしょうがないことです。

ぜひ福祉用具専門相談員などの専門家と相談しながら、十分な説明を受け、周りが使いやすい環境をサポートしてあげましょう。

福祉用具に関しては、各ジャンルについて掘り下げた記事も執筆予定です。ぜひ、こんな記事を書いてほしい!やご質問などあればお待ちしております。

筆者も福祉用具専門相談員として働いた経験がありますので、お力になれたら幸いです。

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