特養のキャリアアップ完全ガイド|資格・役割・昇進の道筋

介護の知識と制度

今回は、実際に特別養護老人ホーム(以下:特養)で働いた場合、自分にはどんなキャリアアップがあるのかを書いていきます。対象は現場の介護職員です。

実際に私が特養で10年間働いた経験を交えてお話ししますので、参考にしてみてください。

🔔特別養護老人ホームでのキャリアアップとは?

特養に入職した介護職員が、どのようにキャリアアップしていくのか詳しく解説していきます。

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🧭 特養で働く介護士のキャリアステージ

🧱 ステップ①:介護職員としての独り立ち

まずは介護職員としての独り立ちを目指します。実際の介助を習得して、シフトの1コマを埋められるようになることが目標です。

起床の介助から就寝の介助までを覚え、指導者がいなくても利用者さんのケアが出来る状態がゴールとなります。

💡抑えるべきポイント

  • 身体介助(入浴・排泄・食事など)の基本動作を習得
  • 利用者の状態変化や記録業務など、観察力と報告ができるようになる
  • 夜勤や早番・遅番を通して業務の流れを覚える

また、介護職員として独り立ちしたあとは、委員会への参加や、間接業務の一部を任されることになるでしょう。間接業務とは、消耗品・備品の管理や、フロアの清掃、掲示物の作成など、分担して介護職員が行っているものです。

特に委員会に参加することで、そのジャンル、例えば給食委員会であれば食事のことであったり、身体拘束の委員会であれば身体拘束についてなどの知識を深めることが出来ます。

個人差はありますが、委員会や担当業務をもった独り立ちまでで1~3年目くらいまでが目安です。

🪤 ステップ②:チームの中核を担う「リーダー職」

介護職員として独り立ちしたら、次は”リーダー職”を目指すことになります。こちらは早い人は3年目くらいから任され始めます。

リーダーにも段階があり、自分の担当するユニットのリーダーから始まり、フロア全体のリーダー、または複数回のフロアをまとめるリーダーなどがあります。担当ユニットのリーダーであれば数人程度、さらにステップアップしてフロア代表としてのリーダーとなれば、数十人を束ねることがあります。ここまでで7年くらいはかかる印象です。

💡主な業務まとめ

  • 新人職員の育成・指導
  • シフトの作成
  • 備品管理(発注・納品)
  • 利用者さんのニーズに合わせてケアの内容を決める

🌈 ステップ③:主任(副主任)

フロアを束ねるリーダーとなると、次は”介護部全体”をまとめる主任(大規模なところは副主任もいる)を目指すことになります。

主任ともなると、施設全体のシフトの調整や、介護部全体としての取り組み、各部署(看護部・相談部・リハビリ部・栄養部など)との会議など、介護職員を代表する存在になります。臨機応変の対応も求められるため、介護業務の経験が10年以上あることが必要です。

💡主な業務まとめ:

  • 各リーダーとの打ち合わせ(フロアやユニットの状況など)
  • 人員配置の管理
  • 収支報告(稼働状況・売上など)
  • 各部署との打ち合わせ(介護部の問題から他部署の問題まで)

📌 ステップ④:施設長(副施設長)

介護の道をとことん極めた方は、介護部の主任等の経験を経て、施設長を目指すことができます。

ここまで来るには、介護の知識はもちろん大切ですが、売り上げや月々に掛かっている経費のイメージや、法律(特に介護保険法)などの知識も必要になってきます。施設で何か問題があれば、判断するのは施設長です。実際の利用者さんへの関りや介助などは減り、ご家族や地方自治体など外部とのやり取りがメインとなっていきます。

新人職員~介護主任までの流れは、介護の経験を生かしてキャリアアップしていけると言えますが、施設長を目指すのであれば、ここからは独学で学んでいかなければ難しいです。

💡主な業務まとめ:

  • 施設管理(収支・経費)
  • 有事(災害や緊急時)の対応
  • 各部署の人事
  • その他もろもろ…施設により任される業務は多くなります

📈 番外編:介護職から別の道へのキャリアアップ

初めは介護職員として入職したとしても、「ずっと現場をやっていくのはきつい」「こういうジャンルに興味が出てきた」など、様々な理由で別の道へ進む方もいます。理由は人それぞれだと思いますが、自分で選んで進むのであれば、それも立派なキャリアアップです。

私が現場で働いていて、みんなが選んだもので多かったキャリアアップをいくつかご紹介します。

  • その① 相談員へ :「利用者さんと関わるのは好きだが、夜勤がしんどい」
  • その② 事務職へ :「介護の仕事を続けたいが、体力面の心配もあり裏方に回りたい」
  • その③ 看護師へ :「関わっていくうちに、医療についてもっと知るべきだと思った」

体力面がネックとなることは多いです。「関りは続けたいけど現場にずっといるのは無理そう…」という方は、相談員や事務職員などの、介護業界とは関わりつつ、自分の負担を軽減した働き方を選ぶことも出来ます。

ただし、どの部署にもその部署なりの大変さはあります。現場で働いている方は実際に話を聞いてみてから、キャリアアップもしくはキャリアチェンジを検討した方がいいです。

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✅資格について

施設が定めるリーダー職や主任などの管理職だけでなく、資格面でもキャリアアップの道はあります。実際に介護職員として成長していきたいのであれば、以下の資格取得を目指すことをおススメします。

🧪 介護福祉士

介護の仕事をするのであればぜひ押さえたい国家資格です。取得までの道のりが大変なのがネックとなりました。

  • 国家資格としての信頼性:転職などを考えたときに勤続年数以上に説得力が上がります。
  • 処遇改善加算の対象になりやすい:資格手当で給与が上がります。(ただし施設規定による)
  • リーダー職や指導職への登用がしやすくなる:国家資格ですから、施設内においても評価の対象になります。

📚 実務者

介護福祉士を取得するためには、実務者の取得と、介護系の仕事へ従事した年数が必要になります。よって、まずはこちらの実務者取得が目標となります。

この実務者研修を通して、実際に介護福祉士試験の勉強にもなりますし、介護の知識がつきます。資格取得まで少し時間が掛かります。(修了までの目安400時間以上)また、費用も高額です。

資格がなくても仕事を出来るというのが、良くも悪くも介護業界です。よって、働きながら実務者を取得するのが難しく、断念する方も結構います。

👥 特養でのキャリア形成に必要な「視点」

💬 上司や先輩との関係性づくり

  • 自分のやりたいこと・興味のあることを言葉にする:介護の中でもどんなジャンルや知識を深めたいのかを、普段から考えておきましょう。上司や先輩に相談してみると学ぶ機会をもらえることがあります。
  • 利用者への想いを伝えてみる:自分がどう想いっているのかを話してみることで、利用者さんへの対応の仕方を教えてもらえたり、頑張っている姿を受け止めてもらえます。コミュニケーションは利用者さんだけでなく、職員同士にとっても重要です。

💡 「なんとなく働く」から脱却する思考法

毎日の介助業務に“目的”を持つことが、評価につながります。特に介護業務は同じ作業が多く、マンネリ化しやすいです。ただ同じことをするときであっても、「今日はここに注意してみよう」「いつもとやり方を変えてみよう」と臨んでみてください。別に視点が発見され、チームにとってのプラスになります。

🏁 10年勤めた筆者のキャリア変遷と気づき

  • 入職から2年目:委員会を任されたり、後輩職員の指導も任せてもらいました。このころは、指導に苦戦することが多く、教えながら自分も再確認していった感じでした。
  • 3〜6年目:委員会では委員長を行い、リーダー職としてユニットを任せてもらいました。シフトの作成業務やオムツなどの日用品の管理など、間接業務についても知ることができました。
  • 7〜10年目:フロアリーダーと副主任を任され、他の部署との相談や介護部全体の問題への取り組みなど、施設全体を巻き込んだ業務などが増えました。

🗣 現場から離れずにキャリアを伸ばす方法もある

特養の魅力は、「現場にいながらキャリアアップできる」点です。

  • 指導役や教育担当として、職員育成に関われる
  • 入退所の窓口として、家族支援や調整業務を担当
  • チームケアの推進者として、外部研修や地域連携に参加

✅ まとめ|キャリアに悩むあなたへ伝えたいこと

介護職員のキャリアについてイメージは出来たでしょうか?

基本的には、一般職員から指導する立場になり、ユニットやフロアを束ねる存在になり、その所帯が大きくなっていくという流れです。

ただし、介護のキャリアは、目に見える昇進だけがすべてではありません。
特養という職場には、現場のスペシャリスト・育成担当・管理職・ケアマネといった多彩なルートが存在しています。中には現場を離れることもあります。

ですが、現場を離れるにしても、どの役職や配属であっても、まずは介護の現場から知る必要があると私は思っています。介護に携わるのであれば、すべてのキャリアに現場経験は活かせるのは間違いないです。

今悩んでいるあなたも、まだイメージができていないという方も「3年後どうなっていたいか」を考えてみると、次の一歩が見えてきます。

ぜひお悩みや感想、疑問点などなんでもお待ちしております。あなたの話をお聞かせください。

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