特養はきつい?介護職員が感じる現場のリアルと働き方の工夫

介護全般

介護の現場において、「特養(特別養護老人ホーム)はきつい」という声を耳にすることは少なくありません。実際に特養で働く介護職員の中には、日々の業務に追われ、心身ともに疲弊してしまうケースも見られます。

しかしながら、その実情を冷静に分析すると、特養特有の勤務体制や入所者の介護度、施設運営のあり方などが複雑に絡み合っており、単純に「きつい」と一括りにするには注意が必要です。

本記事では、特養の勤務がきついとされる理由を紐解きながら、その背景にある構造的な問題や現場の工夫について深掘りしていきます。

📝特養が「きつい」と言われる理由とは

特別養護老人ホーム、いわゆる「特養」は、介護施設の中でも特に“きつい”と語られることが多い職場です。介護職に就いたばかりの方にとって、特養は敬遠されがちな現場でもあります。それはなぜなのでしょうか。ここでは、特養が「きつい」と言われる理由について、現場で働く職員の声や業務実態に基づいて詳しく解説していきます。

「排泄・入浴・食事介助」といった身体的ケアが1日に何度も繰り返され、加えて夜勤や急変対応、認知症への対応など精神的な負担も大きいことが要因です。また、介護度の高い入所者が多いため、重介助を必要とする場面が多く、体力的にも厳しい現実があります。

しかし、「きつい=悪い職場」というわけではありません。やりがいを感じるポイントや、乗り越えるための工夫も存在します。では、その“きつさ”の実情とはどのようなものなのか。ここからは、具体的な仕事内容や負担の実態に焦点を当てていきます。

業務内容の幅広さが心身に負担をかける

特養では、身体介護から生活援助、記録業務、レクリエーションの企画まで、実に多岐にわたる業務が求められます。介護職員一人あたりの負担が重くなりやすいのは、こうした「なんでも屋」のような働き方が求められる点が大きな要因です。

なぜなら、特養には介護度の高い入居者が多く、日常的に全介助が必要な方も少なくありません。そのため、排泄・食事・入浴といった身体的なケアが中心になりますが、それに加えて、ナースとの連携や記録入力、委員会活動への参加、利用者の通院付き添いなど、時間外に及ぶ業務も多く存在します。

こうした多様な業務が、体力だけでなく精神的な余裕を奪っていくことにつながります。「仕事が終わらない」「他の職員の業務までカバーしなければならない」といった声も現場では頻繁に聞かれます。

このように、特養での勤務は単なる介護だけでなく、施設運営に関わる広範な業務を担うことになるため、心身の負担が大きくなりやすいのです。

夜勤の多さと不規則な生活リズム

特養勤務の大きな特徴として挙げられるのが、夜勤業務の負担の大きさです。月に4〜6回程度の夜勤が発生することが一般的であり、その回数は人手不足の施設ではさらに増える傾向にあります。

人手不足で苦しんでいる施設では、夜勤が月に10回を超えることもあります。

なぜなら、24時間体制で入所者の生活を支える必要があるため、夜間も最低限のスタッフを配置しなければなりません。しかし、夜勤は基本的に少人数体制であり、急変やナースコールの対応、見回り、排泄介助などを一人でこなすことも多く、非常に大きなプレッシャーとなります。

さらに、夜勤と日勤のシフトが不規則に組まれることにより、生活リズムが乱れやすく、体調不良やメンタル不調の原因になることもあります。睡眠障害や食欲低下、疲労の蓄積といった慢性的な問題を抱える職員も少なくありません。

このように、夜勤の負担と不規則な生活リズムは、特養の「きつさ」を語る上で外せない大きな要素の一つです。

身体的負担が大きい業務が多い

特養では要介護3以上の高齢者が入所しているため、排泄・入浴・食事といった身体介助の比率が非常に高いです。特に、排泄介助は夜間も含めて複数回行う必要があり、腰痛や関節の痛みに悩まされる職員も少なくありません。

介助時には、体重の重い利用者を支えながら動かす場面が頻出します。ボディメカニクスを意識しても、介助の頻度と重さが蓄積すれば身体的な限界を迎えるのは当然です。こうした負担を軽減するためには、福祉用具の活用や複数人での協力が不可欠となります。

認知症ケアの難しさと精神的ストレス

特養では、認知症を患った高齢者が多数入所しており、認知症ケアの難しさも“きつさ”の一因です。言葉のやり取りがうまくいかない、突然怒り出す、夜間徘徊するなど、対応に高度なコミュニケーション力と忍耐力が求められます。

なぜなら、認知症の進行度や症状は一人ひとり異なるため、マニュアル通りにはいかない対応が日常茶飯事です。さらに、拒否や暴言、暴力などが見られるケースもあり、精神的なダメージを受ける職員も少なくありません。

また、記憶障害によって信頼関係の構築が難しくなることも多く、「昨日仲良く話したのに、今日は全く覚えていない」といった事態に直面すると、職員のモチベーションにも影響を与えることがあります。

このように、特養における認知症ケアは、対応に高度なスキルが必要であり、精神的ストレスの蓄積につながる重要な要素です。

精神的なストレスへの対応が求められる

特養は終の棲家としての役割も担っているため、看取りケアや家族対応など、精神的なケアも重要となります。特に、認知症の進行によってコミュニケーションが困難な利用者と向き合う場面では、職員に高い忍耐力と観察力が求められます。

加えて、業務量の多さに対して人員配置が追いついていない現場では、常に緊張状態が続き、燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥るケースもあります。これは一時的なストレスではなく、慢性的な心理的負担が原因です。

🖋️なぜ離職率が高くなりがちなのか

特養勤務は離職率が高いと言われますが、その理由は単なる体力面だけではありません。職場環境や評価制度、人間関係といった要素も密接に関係しています。

業務量に対する評価が見合わない

介護職全体に共通する課題ですが、特養では特に「頑張っても報われない」と感じやすい構造があります。介助量が多く責任の重い業務にもかかわらず、給与や昇進に大きな差が生まれにくい職場も少なくありません。

このような状況では、やりがいよりも徒労感が先行し、モチベーションの低下を招きやすくなります。組織として、評価制度の見直しやキャリア支援の充実が求められます。

人間関係や職場文化に悩む職員も多い

介護の現場はチームワークが不可欠ですが、忙しさゆえに人間関係の摩擦が生じやすい環境でもあります。特養では特に、リーダー職や古株職員との距離感に悩み、退職を決意するケースも報告されています。

人間関係のストレスは、仕事内容以上に離職に直結する要因です。新人職員へのサポート体制やメンタルケアの整備が急務といえるでしょう。

🍀特養勤務を続けるために必要な工夫

それでも、多くの職員が特養で長く働き続けているのも事実です。現場ではどのような工夫がなされているのかを紹介します。

ICT導入や業務の効率化

記録業務の簡素化や情報共有の迅速化を図るため、ICT(情報通信技術)の導入が進んでいます。タブレット端末での記録や、ナースコールと連動した管理システムの活用などは、職員の負担を減らし、時間的余裕を生み出しています。

また、ルーティン業務を可視化・標準化することで、業務の属人化を防ぎ、新人でもスムーズに業務が遂行できるようになります。これにより、ミスの防止やストレス軽減にもつながります。

特にChatGPTなどの、AIを導入することで、介護現場で負担になっている事務作業(ケース記録の記入や会議の資料づくり)などは大きく時間を短縮することができるのでおすすめです。

もちろん無料の範囲でできるので、ぜひとも導入を考えてみてほしいです。

定期的なフィードバックや面談の実施

業務改善や職員の定着を図るうえで欠かせないのが、定期的なフィードバックの場です。月1回の面談やチームミーティングを通じて、現場の声を吸い上げることで、早期の課題発見と対策が可能になります。

また、職員の意見を尊重する文化が根付けば、モチベーションの向上にも寄与します。単なる評価ではなく、振り返りと今後の目標を共有する時間を確保することが、長期的な職場環境の改善につながります。

キャリアパスを明示し、モチベーションを維持

「この仕事を続けても将来が見えない」という不安が離職の背景にある場合、キャリアステップを明確に示すことが有効です。

なぜなら、目指すべき目標がはっきりすると、日々の業務にも意味を感じられるようになるからです。

実際の導入例:

  • 実務者研修→介護福祉士→リーダー→施設長という明確なステップ
  • 資格取得支援制度(スクール代補助、勤務調整など)
  • 定期的なキャリア相談会

このように、キャリアの“道筋”があるだけでも、職員の将来設計と意欲に大きな違いが生まれます。

職場の雰囲気づくりとチームケアの推進

人間関係のトラブルも、離職理由として多く報告されています。

そのため、チーム内でお互いを支え合う「チームケア」の意識づけが重要です。

たとえば、

  • 業務引き継ぎ時の声かけや労い
  • 職種を越えた情報共有や相談の文化
  • 新人を孤立させないOJT制度

このような配慮と仕組みを重ねることで、「ここでなら続けられる」と感じる職員を増やすことができます。

🌈まとめlまだまだ課題は多い・・・

特養で働くには、実際にきついと感じてしまう場面は非常に多いです。これが実際に働いて感じたリアルです。

定着率が低く、新人だけでなく中堅層の職員でさえも、見限って辞めていってしまうことが多く、職員個人でこれを解決することはなかなか難しいです。

あなたがもし中間管理職や、新人を脱し意見を述べることができるのであれば、施設全体の課題として働きかけてみましょう。

後ろ向きな話が多くなってしまいましたが、改善の余地がまだまだあるということです。あなたの施設ではどんな課題がありますか?

よければぜひお話を聞かせてください。

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